去年の春に親友が癌であることが分かった。就職先が決まって上京したてだったが地元に戻り治療に専念することにした。彼女の前向きな性格も後押ししたのか、闘病中は終始元気で奇跡的な回復を遂げた。病気が落ち着いたある日「守護霊の君のおじいちゃんが「俺がいるからもう病気のことは心配しなくていい。大丈夫」と言っている」と職場の先輩に言われたらしい。なんか怖い話だけど、本人はそれにすごく感動していた。
ある金曜の夜、餃子好きの私が楽しみにしてたのは、中国人がやっているという中華屋「餃子の李」にその親友が連れてってくれることだった。福岡県の薬院駅にある「餃子の李」は、地元でも有名だ。李さんがやってるのだろうか。
その日の夕方「昨日から痔の方がやばくて椅子に座れないから餃子をテイクアウトして家で飲みたい」と彼女からメールが来た。やめにするか聞いたものの大丈夫だそうだ。集合場所に彼女は、腰が完全に曲がったまま異様な姿勢で登場して来た。私はこの時点では、痔を完全にバカにしていた。
「餃子の李」に到着すると、やっぱり金曜の夜、いっぱいだった。狭い店内、すでに入り口で待ってるお客さんがいる。行く途中でも思ってはいたが「大丈夫。大丈夫。」と連呼する彼女の様子がなんだかおかしい。お店の前で並んで待っている間も、足を止めずにずっと練り歩くのだ。歩いているほうが、痛くないそうだ。大丈夫ではないじゃないか。
私たちの後ろにも人が続いて並び始めた。練り歩く彼女の様子は、側から見ると「おしっこがしたくて仕方がない人」だ。私は周りの目に耐えきれず「スーパーでご飯を買って帰ろう」と提案すると「(私のために)ありがとう!」という感じだった。彼女は家に着くと「お湯に浸かれば少し楽になる」と急いでお風呂に入り、お尻を上にした状態で横たわった。その横で私は一人でビールを飲み干した。お尻の痛みで食欲が出ないという彼女を寝かしつけて電車に乗って帰宅した。
私は一体何しに行ったのだろう。そして、守護霊であるおじいちゃんは、痔は管轄外だったのだろうか。と電車で思いを巡らせた。
それから「痔」について色々検索して詳しくなった。私たちは「恥ずかしい」と思う気持ちが病院に行くことを遅らせ悪化し、手術しなければならないケースが日本には多いらしい。そのため、他の国より痔の手術率は多いとか。でも、痔の発生率は日本も世界の国も変わりないとのこと。痔の種類や原因を知った上で考えても、人類みんな可能性がある。あのジャスティン・ビーバーも、あのジャスティン・ティンバーレイクさえもなりうるアメリカでもポピュラーなお尻の病気だ。
どっちにしても、「痔」は治る病気。よっぽど珍しい痔じゃない限り、病院で治る。羞恥心を捨てて!痔は恥ずかしくない!ジャスティン・ビーバーだって可能性はある!そう思うと勇気が湧いてきた。
あんなイケメンでもなりうるなら、明日は我が身だ。予防ができたらなお良い。下痢と便秘を繰り返すことなどが原因だとするならば、予防策としたら「腸内環境を整える」なんだろうけど、その根本のストレスなどを排除するのは難しい。1番の予防策は、腸内環境を整えるというよりは、仕事や家庭などの生活面を整えるほうが一番いいのかもしれない。簡単なことではないけど。
いかにストレスが痔に関わってくるのかが分かるホラー映画を見つけた。ホラーって言っても、そこまで怖くはない。主人公がストレスを抱えると出てくるいぼ痔のモンスター・マイロがストレスの原因である人々を殺していく。というぶっ飛んだ設定だが、簡単に言うといぼ痔のモンスターとその産みの親の絆の話だ。少し下品だけど徐々にマイロに愛着が湧いてくるとみんな口を揃えて言う。面白いかは別として。
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それと、痔の苦悩についてわかりやすくかつ面白い漫画をインスタグラムで見つけた。ぜひ読んでほしい。
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