映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」ウディ・アレンとティモシー・シャメラ

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映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」で、主演のティモシー・シャメラを初めてスクリーンで観て、ある名タイトルが頭に浮かんだ。

「ティモシーシャメラという奇跡。」

雑誌ヴォーグの記事のタイトルだ。「ティモシーシャメラ」と検索すると上位に出てくるそのタイトルは、以前から気にはしていた。その時は読まなかったけど、彼を目にするとその言葉が浮かぶくらい印象的なタイトルではあったのだ。知らない人のために説明すると、ティモシー・シャメラというと…日本で今だったら横浜流星みたいな感じだ。彗星の如く現れたエース的存在。実力もあって、どの監督も今使いたがるであろう旬な俳優だ。中性的な雰囲気と殺気に溢れた不気味な目つきとか、かなり今っぽい。ひと昔前のゴリゴリのアイドル感は古臭くなってきたなあという印象である。とにかく、旬な俳優だ!

この映画の監督ウディ・アレンは色々あってどうしても存在を認めたくないけど、私は彼の映画が好きだ。彼は、監督俳優脚本家…どこの役もこなす84歳のベテランおじいちゃん。半世紀も映画を作り続けていて、世に出した作品は数多くある。私は全て観てきたわけじゃないけど、みんなも思い返してほしい。彼が作ってきた主人公たちはいつも何かに悩んでいる。せわしなく、落ち着きもない。なんだか情緒が安定してない様子。映画「ブルージャスミン(’13)」なんてエリザベス女王(ケイト・ブランシェット)が、明らかにメンタルがやられている。彼女は最悪のパターンだけど、ウディ・アレンの映画にはいつもそんな状態の主人公がやってくる。そんな男と女の喜劇を描く。彼の映画を料理に例えたい。クッキーでも焼きそばでもなんでもいい。彼に掛かれば材料や味は違えど、出来上がる料理はやっぱり同じものになる。

今回の材料は、かなり旬な俳優揃いだった。エル・ファニングにセレーナ・ゴメス、そして今回の悩める男ティモシー・シャメラ。舞台はニューヨーク。何もかもウディアレンは、みごとに型にはめてしまうのだ。劇中の計算された間のとりかたから、余談が多い早口な会話。ティモシーシャメラの他の作品を観たことはないけど、おそらくあんな感じではないだろう。しっかりウディアレンが作り上げた主人公に出来上がっていた。映画全体を観ても、ウッディアレン調は変わらずとも楽しめた。どんな材料を揃えようとも、型を変えないのがウディアレンの良さなのだろう。

映画を終えて、例のヴォーグの記事を読んでみた。ティモシーシャメラのインタビューと彼の経歴を踏まえて彼の魅力を伝えている内容だった。スクリーンで彼を観た時見惚れて冒頭に集中できなかったのが本音である。彼の美貌を目の当たりした後で、私にとって記事の内容は関係なかった。「ティモシーシャメラという奇跡」という言葉だけで魅力は全て伝わっていたことに気がついたからだ。

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